小仏
7月14日(土)に高円寺DOM studioで行われる第一回てろてろ自主企画 「ウタ、ライブ」の出演者を、てろてろの各メンバーが紹介していきます。第十四回は小仏です。
甲州のジョン・ゾーンことSaxの佐野さんを初めて観たのは、神楽坂にあったライブハウスに毎日のように通っていた頃、「大菩薩」というバンドで演奏していたのを観た時でした。Drの、山梨のチャールズ・ヘイワードこと奥山君とはかなり長い付き合いで、もう10年近く交流があります。彼とは個人的な節目節目に色んなバンドをやっていて、とてもお世話になっています。私が初めて人前で即興をやった「ビッグストレス」というバンドでも、彼が後ろで叩いていました。
小仏は、この大菩薩のメンバー二人が活動休止中に始めたバンドと記憶しています。なので最初に知った時は、失礼ながら大菩薩が再開するまでの中継ぎのバンドなのかな、と思っていました。音はミニマルで、名義も「大」に対して「小」ですから。
ところが、いつの間にかギターとベースが加わり、重みのあるバンドサウンドへと変貌。ライブも頻繁に行い、プログレ、ニューウェーブ、フリージャズ……どのジャンルにも当てはまりそうで当てはまらない、唯一無二のバンドとして活動を続けています。
これほど壮絶な演奏力で音圧が上がってなお、軽快さを感じさせる洒脱さは、フロントマンである佐野さんの人間的な粋さでしょう(なんていうと、嫌がりそうなのですが)。私にとって、うしろまえさかさ族が「陽」の、子供のような爆発力への憧れならば、 小仏は「陰」の、大人の落ち着きを持った憧れです。
しかしこんないいバンドが、東京ではなかなか見る機会がありません。なにせ山梨のバンドです。けれどそれにしても、こんな凄いバンドを呼ばない手はありません。なぜ誰も東京に呼ばないのでしょう?なぜ、誰も紹介してくれないのでしょう。
ちゃんと、知られていないからです。ちゃんと、よいものを紹介しようという気概を持った人に、見つかっていないからです。
本当は、自分の企画で小仏は呼びたくありませんでした。企画で呼んだバンドのライブは、まともに最後まで観ることはできません。私的にはなんの得もないです。
けれど、他に誰も東京に呼ばないのなら仕方がありません。大勢の人に観てもらうべきバンドは、自分で呼んで、営業して、観てもらうしかありません。
今度は、小仏を観に来たあなたが、小仏を東京に呼んでください。山梨にも、小仏を観に行ってください。私も、あなたと一緒に観に行きます。(評者 Vo,Sax:及川耕碩)
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